カフェで煙草を二本吸った。

一本は「ダンス・ダンス・ダンス(上)」を読み終える直前に。
そしてもう一本は下巻を買おうと決めた次の瞬間に。

人の流れを見ていると
あたしが街中を歩いているときも
こうやってだれかにあたしという像を
時間の流れの過ぎ行くように
その一部分としての欠片として
見られているのかもしれないなぁと感じた。

左から右へ
上から下へ
流れるだけ
押し進むだけ
だれもその動きを止めることは出来ない。

春色のワンピを着ているおんなのこを目で追っていて
いつか話した
「10時10分の足」の話を思い出していた。
それで、下の階に急いで行って
「ダンス・ダンス・ダンス(下)」と
「ねじまき鳥クロニクル」を買った。
これでちょっと春樹漬けになりそうな自分が嫌いじゃなかったりする。

ごくごく当たり前のことだけど
一人の男の子が手の届かない場所で泣いていて
赤い目をごしごししている時に
あたしまで泣いてちゃ
その子を抱き締めて慰めることなんて出来ない。

きみはなにをそんなに我慢しているの
なにをそんなに恐れているの
何か楽しい話を
きみがその涙を流す理由を忘れちゃうくらいに
バラ色で愉快な話を
次から次へと話して聞かせてあげるよ。


求めているものはもう手の中にあるのに、
人はそれに気付けないことがとても多い。

単純に。

でも、確実に。

コメント

お気に入り日記の更新

この日記について

日記内を検索