その男はよくたばこを吸った。
午後2時半のことだ。
会社へ向かう車の中で、
鬱々とした暑さを払拭すべくその男は、
窓を開け閉めしては何度もため息を吐いた。
その男を始めて見たのは中学の頃だったか。
私がまだ恋やら愛やらにうつつを抜かしていない時期で、
例えば放課後に隣に座って煙草を吸って居ても、
例えば退屈な授業をサボってふたり屋上で寝ていても、
違和感を全く感じないどころか逆にそれが普通のような間柄で。
まー、そういった男と今日は一日中一緒に居た。
寿司を食べアイスクリームを食べチョコを食べた。
車はスポーツカータイプで常時針がメーターを振り切り、
風に揺れる髪はいつかの幼い自分を見ているようだった。
海に行きたいと独り言のように私が云うと、
その男はちらっとだけこちらを見た後にすぐ視線を前に戻して、
「面倒臭い」と云った。
私達の関係はそういったものだ。

これが男友達か。
だとしたら悪くも無い関係だなぁ。

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